経 ( けいけん ): 
教 育
芝浦工業大学専門職大学院「工学マネジメント研究科」に入学して

芝浦工業大学は2003年4月から、日本初の専門職大学院「工学マネジメント研究科(MOT)」をスタートさせた。
私は、独学で学び、経験的に進めてきたマネジメントをMOTにて改めて学んで見る事にした。
ここでは、MOTで学んだこと、私が研究や勉強をして気付いたことなどを紹介する。


◆◇ 2004年(平成16年) 04月の出来事 ◇◆


2004年04月30日(金)
MOT的思考:ソフトウェア開発入門(16)
 □ブランド□
  製品企画書では、開発商品のブランドとしての位置付けを明確にする必要がある。
 開発する製品が、すでにあるブランドとの関係を明確にして、新規のブランドにするのか、
従来からのブランドを継承するのか等に関して、どのようなブランドを新商品で形成するかを明示する議論が必要だ。
 生産財のブランドの扱いは、一般消費財とでその構築概念が、大きくことなる。
 一般消費財のブランド構築は、販売促進活動が中心となって長期的戦略的なものとして進められる。
 生産財におけるブランド構築は、最終顧客をにらんだお客様を意識したお客様の視点での
開発がされ技術的な視点での差別化が重要となる。

2004年04月27日(火)
MOT的思考:思考の深さ
 物事を深く考えるという。
 最近、あることに気づいた。
 思考訓練は、できるようでできないものがある。
 その訓練、自分で日常的にやって鍛えておく必要がある。
 階層構造で物事を捉えられない人は多い。
 その訓練の基本は、時間軸で考え、手順を追ってみることだ。
 例えば、工程毎で考える、PDCAの検討プロセスで検討するなどがある。

2004年04月25日(日)
MOT的思考:問題が起きたら自ら現場に向かう。
 今、私は、いろいろなことを手がけている。
 ビジネスを進めていると、必ず問題は起こる。
 問題が起きてしまった時は、
まず「問題が起きている現場に自ら向かう」ことが重要だ。
 現場で、自分の目で状況を確認する。
 決断できることは即座に決断をして指示を出す。
 どんなに情報網が発達しても、自ら現場にいて、
自分の目で捉えた情報の多さと処理スピードの速さは桁違いである。

2004年04月24日(土)
MOT的思考:差別化技術の開発
 国際競争力ある製品開発には、差別化技術を持つことが不可欠である。
では、その差別化技術はどう開発していくのだろうか。
 『新商品構想力』浦川卓也著にその辺が報告されてる。
 「技術開発本来の目的を考えれば、より大事なことは、
いかに付加価値の高い独自の商品・事業開発構想を持つかにある。」、
「多くの場合、独自の商品コンセプトを設定すれば結果として、
その実現のために独自の開発技術が必然的にともなってくるのだ。」とある。
 それを読んで、技術障壁が高い商品開発の設定が重要であると、改めて再認識した。
 技術者に大反対が出そうな、できそうもない技術開発は、それが実現したとき、
苦労して開発したその技術が競争力の源泉となる。

2004年04月22日(木)
MOT的思考:ソフトウェア開発入門(15)
 □戦略説明□
 製品企画書では、開発を戦略的な視点で説明する必要がある。
 販売戦略など売れる仕組みづくりを明確にする。
 開発にあたっては、何のために開発するか(目的)を明らかにして、開発に取り組む必要がある。
 従来に無い新規商品の需要調査は、試作品を早期に製品化して、
ターゲットユーザに提供し、市場ニーズの確認を行う。
 機能,性能のユーザからの反応確認は、できるだけ販売するものに近い物(試作品)
で確認を行うと良い。

2004年04月21日(水)
 『新産業組織マネージメント』(3)
 − 米国の経営と日本との違い −
 (1)決定のスピード
  日本は稟議制度である。リーダ権限で進めることができないことが多い。
 (2)資源の集中
  日本は、安全をとる。何に重点をおくかが不明確。
 (3)能力主義
  適材適所が取れる。日本では、簡単に変えられない。

2004年04月20日(火)
 『新産業組織マネージメント』(2)
 − 情報を集める −
 TOTOの元専務である吉久保教授のノウハウの一つに
"Wall Street Journal" を継続的に読んできたがある。
 情報が、"Wall Street Journal"にはあるという。
 さらに先生は、記者に対して疑問点を質問したという。
 質問の70%は回答をくれたという。
 先生の努力ぶりが良く分かる。

2004年04月19日(月)
 『新産業組織マネージメント』の講義をしてくれる吉久保教授は、
TOTOの元専務である。
 講義は、先生の経験に基づいた実学そのものである。
 先生は、MOTの生徒に「私の講義を聴いて、何か会社に戻って役立つ知識を身につけて欲しい」と熱く語る。
 先生の講義から、講義内容の一部を紹介する。
 米国のMBAを出たひとの優れている点は、3つある。
@ディベート能力
 自分の意見をきちんと主張すること。
 大切なのは、人の意見を聞くことだ。
 相手の意見を取り入れる能力を持っている。
 やはり、自分の知識だけでは限界がある。
Aプレゼンテーション能力
 自分の考えをうまく相手に伝える能力に優れている。
 3分間、話しをさせたら相手の能力は分かる。
 また、質問をした時、常に考えている人は、まともな答えがすぐに返ってくる。 
B着眼点に優れている
 目標設定が良くできている。
 常に、「なにが重要か」、「相手が何を要求しているか」が分からなくては駄目である。
 これがずれると、お金の使い方に誤りが生じる。

2004年04月15日(木)
MOT的思考:ソフトウェア開発入門(14)
 □対象顧客□
 製品企画書では、開発製品を販売する対象顧客を定義することが重要だ。
 開発製品を使う顧客が見えなければ、設計ができない。
 お客さまの属性を定義する。
 製品が、一般消費材と産業材では、お客様の属性が基本的に異なる。
 一般消費材は、その想定購入者の職種、年齢層、年収が問題になる。
 産業材では、業種、事業規模、売上規模などの顧客の市場構造を定義する。
 競合がいないような市場での開発の場合は、実客名を上げて、顧客状況を
明確にあいたほうが、ニーズにあった製品開発ができる。

2004年04月13日(火)
MOT的思考:ソフトウェア開発入門(13)
 □市場説明□
 製品企画書では、開発製品を販売する市場を定義する。
 「市場」はどこだ。どのような市場に売ろうとしているか。
 類似既存製品があって、市場を形成している場合は、従来から市場の状況、
現在の市場占有率と開発商品が狙う占有率、競合との位置付け(ポジショニング)などを説明する。
 新規市場参入または新規市場形成製品の場合は、対象製品を既存市場に売るのか、
新規市場に参入して売るのかを明確にするとともに、既に競合はいるのか、新規に市場を創生するのか、
目標とする市場占有率をどのように確保するのか。、競合メーカの位置付けは等のポジショニングを明確にする。

2004年04月12日(月)
 2年次の授業をはじめて受講した。
 先週の7日(水)から授業ははじまっていたが、
夜、お客様と会う予定が入ってしまい出られなかった。
 久しぶりの講義、整理された情報を教えて貰うことの楽しさがそこにあった。
 東陶機器(株)でウォシュレットを開発してきた吉久保先生は、
「私の講義を聴いて何か役立つ知識を身につけて欲しい」といわれる。
 先生の情熱が伝わる授業にわくわくする。
 
2004年04月11日(日)
MOT的思考:コスト削減を技術で解決
 キャノンの御手洗社長の発言が日経の記事として掲載されていたことを思い出す。
 「キャノンは、中国に7つの工場を建設。もう設備投資は一段落。」
 「中国に生産移管を進める。日本の工場は高付加価値品の開発・生産拠点とする。」
 「製品開発力で日本は優位に立っている。」
 「長期的にみた場合、人件費でコスト削減を行うのでなく、技術力を磨くことで対応したい。」
 「どこの国でも、安いと思った人件費はやがて向上してくる。」
 日本の生きる道は、技術力の向上にある。

2004年04月10日(土)
MOT的思考:ソフトウェア開発入門(12)
 □商品説明□
 商品説明では、その商品の持つ、機能概要、特徴的な性能などを定義する。
 開発する製品の特徴を差別化の視点から明らかにする。
 製品開発は、この明らかになった差別化要素を満足するよう、実現しなければならない。
 開発する製品には、とのような付加価値があるのか。
 開発する製品の特徴は何かを、開発する担当が意識して作業に入る必要がある。
 顧客にとって、開発製品にどのような「あそび」が期待できるのか等を説明してあることも必要である。
 開発した製品の価格および価格戦略を明確にする。
 競合する製品との価格をはじめとする特徴的な差別化要因を明確に定義する必要がある。

2004年04月08日(木)
MOT的思考:計画できて一人前
 技術者にしろ、営業マンにしろ計画できて一人前といえる。
 マネージメントの基本的な仕事に計画がある。
 計画つまり予測が出来なくては、作業は迅速に進まない。
 計画を立てるべき時間的な深さは、課長と部長では、異なるものになる。
 計画が出来る人にマネージメントを任せたい。
 計画が出来ない、つまり読みが出来ない人が部門の長になると、その部門の未来は暗くなる。
 主任、課長、部長、事業部長に分けて計画を立てるべき期間を考えてみる
 主任は、1週間から1ヶ月の計画を立てられなければならない。
 課長は、1ヶ月から1年、
 部長は、6ヶ月から1年、
 事業部長は、1年から3年、
 以上のように私は考える。
 皆さんはどう思うか。

2004年04月07日(水)
MOT的思考:ソフトウェア開発入門(11)
 □優れた企画書とは□
 企画書の基本は、商品(サービス)定義を明確にすることである。
 商品戦略をきちんと定義し、開発する商品の既存商品との関係や、
競合製品との位置付けについて開発の位置付けを明らかに定義しなければならない。
 企画書で書くべきマーケティング要素の事例は以下の通りである。
 @ 商品説明:開発する商品の差別化(付加価値、特徴、あそび)を行う。
 A 市場説明:市場の状況、市場占有率、競合との位置付けを定義する。
 B 対象顧客:お客さまの属性を定義する。業種・職種、事業規模・年齢層、売上規模・年収クラスなど
 C 戦略説明:開発戦略、販売戦略など売れる仕組みづくり
 D ブランド:どのようなブランドを形成するかを明示する。
 企画書は、「マーケティング報告書」でもあるのだ。

2004年04月06日(火)
MOT的思考:ソフトウェア開発入門(10)
 □製品企画:システム設計□
 ソフトウェア開発に入るまえに「製品企画書」がきちんと出来ているかがソフトウェアの品質を大きく左右する。
 「製品企画書」は何を作るかの基本定義であり、非常に重要なものである。
 ソフトウェアの見積を作成する時は、「製品企画書」の完成度をパラメータに入れておかないと、
初期の仕様の詰めで時間やコストを予想以上に使ってしまうことになる。
 この段階での曖昧さは、大きなバグを生む原因になりうる。
 製品企画は、システム設計工程である。
 開発すべき製品を企画する作業工程である。
 本工程の生産物は「製品企画書」である。
 マーケッティング視点を持って製品企画は書かなければならない。
 製品企画書はマーケッティング企画書でもあるのだ。
 「製品企画書」を見ると、何を開発するかの製品イメージが明確になるようなものに作り上げる必要がある。

2004年04月05日(月)
MOT的思考:駄目男さんとの出会
 打ち合わせでどれだけ駄目を言うか。
 駄目を言う分、企画している製品の仕様が小さくなる。
 駄目を言っているうちは、問題が分かっていても改善はできない。
 駄目を克服しない限り前進はできないのだ。
 この駄目を言っている駄目男に駄目を気づかせるのは大変だ。
 能力があっても、思い込みで駄目な自分を作ってしまっている。

2004年04月04日(日)
 
OSといえば、Windowsといわれる今日、世界で一番使われているOSであるITRONの存在は意外と知られていない。
 (社)トロン協会らが実施した『組込みシステムにおけるリアルタイムOSの利用動向に関するアンケート調査報告書(2002年度)』
によると、「ITRONはOSを使用している組込みシステムの50%以上で使用している」との報告がある。
 ITRONは、オープンな仕様、OSサイズが小さい、カスタマイズが可能などの特徴をもっている。
 さらに、ITRONは、仕様書が無料、実装も無料、販売も自由とのライセンスがフリーである。
 コスト競争の厳しい家庭電化製品、携帯などで採用されている理由でもある。

2004年04月03日(土)
MOT的思考:ソフトウェア開発入門(9)
 □ソフトウェア開発の神話□
 見方を変えるといろいろな、ソフトウェア開発作業がいろいろな色合いに見えてくる。
 私の非常識の常識でもあるのだ。
 @ ソフトウェアの開発は、簡単である。
 A ソフトウェア開発技術者は、今日からでもすぐにスペシャリストになれる。
 B ソフトウェア開発は、仕掛け作りであって、そこに技術は無いにひとしい。
   手品師の世界なのに、その種を技術だと多くの人は勘違いしている。
 C ソフトウェアは単純頭脳労働である。力仕事ともいえる。体力勝負ともいえる。
 D ソフトウェアの生産性は、能力に比例する。結局は、適性もあるが最後は頭で勝負する。
 E ソフトウェアが分らないのは、解読する側に能力が無いのではなく、分かりにくいソフトウェアを作った側に責任がある。
   分かりやすいソフトを書く人は、不具合も少ない。他人が分からないようなソフトは、作った自分も理解できない。
   でたらめなソフトを書いて偉そうにしている偽物技術者が横行する。
 (c)k.Kodaira.2004.4

2004年04月02日(金)
MOT的思考:ソフトウェア開発入門(8)
 □ソフトウェア開発技術者に要求される能力□
 ソフトウェア開発技術者に要求される能力を洗い出してみる。
 これは、SE技術者の要件でもあるのだ。
 @ 理解力:作り込むべき要求条件(機能、性能)を理解できる。
 A 文章作成能力:文書化(ドキュメント化)が出来る。
 B コニュニケーション能力:どんな人とでもコミュニケーションができる。
 C トップダウンの機能分析:機能を階層で捉え、段階的に詳細化ができる。
 D 人のマネージメント:見抜く能力(性格、スキル、責任感、向上心)
 E 豊かな人間性:図太く、緻密で、誠実であること。
 F 業務遂行能力:問題に直面し、壁を感じても、成功するまで撤退しない強い意志。
 G 几帳面な性格。
 (c)k.Kodaira.2004.4


2004年04月01日(木)
MOT的思考:新商品構想力
 浦川卓也j著『新商品構想力』(ダイヤモンド社)を読んだ。
 本を読んで思い直したことは、
 『イノベーションは、身近な事柄にその発想や構想のルーツがある』
 『在来の商品・サービスをも直すことが新しいアイディア発想の基本である』
 『特別な才能や資質を持った人でないとできない、ということではないのだ。』
 『誰しもがもつ好奇心と知恵に自信をもつことこそ、「創造や構想」を生む原動力である』 
と、新商品の構想がまずは身近なところにあるということだ。