経 ( けいけん ): 
教 育
芝浦工業大学専門職大学院「工学マネジメント研究科」に入学して

芝浦工業大学は2003年4月から、日本初の専門職大学院「工学マネジメント研究科(MOT)」をスタートさせた。
私は、独学で学び、経験的に進めてきたマネジメントをMOTにて改めて学んで見る事にした。
ここでは、MOTで学んだこと、私が研究や勉強をして気付いたことなどを紹介する。


◆◇ 2004年(平成16年) 05月の出来事 ◇◆


2004年05月17日(月)
エンジニアリング・ブランド(9):自社のSWOTを把握する
 市場の認知度の無い製品を市場に送り出すとき、SWOTで整理することが必要だ。
 しかし、多くの場合、新商品をSWOTで整理することは容易ではない。
 ここで整理するSWOT分析は、販売対象となる新製品自身の強み(Strengths)であり、
新製品自身の弱み(Weaknesses)であり、仮説の対象市場に対する機会(Opportinities)であり、
対象市場における脅威(Threats)である。
 直面するのは、分かっているつもりで分かっていないのが自社の新製品のことである。
 ◇新製品のSWOT分析◇
 競合製品があるのか、無いのか。あるとしたら自社製品はどのような特徴を持っているのか。
 次に、市場の現状を知ることが重要である。
 SWOT分析を進めるとき、市場を理解していないことに気付く。
 最初に取り組むことは、仮説の市場を相手に売り込みを開始することである。
 売り込みをはじめると、市場は反応してくるのである。
 その市場の反応を市場分析し、セグメント化を進めながら段階的に階層化を行い、市場の分析を進めるのである。
 市場の反応は、様々である。
 新製品の場合、その製品がユニークであればあるほど、市場の反応はクールである。
 あきらめずに市場との対話を継続することである。
 仮説市場を広げながら対話を続け、整理を進めることが重要である。
 これを浅く広く、一定期間取組めばSWOT分析はできるのである。
 
2004年05月16日(日)
MOT的思考:国産経営学は無いのか
 サプライ・チェーン・マネージメントは、日本のビジネスからでてきた、ともいえる。
 トヨタのJITをきちんとマネージメントの手法として学問にしたのは、米国の学者たちである。
 マネージメントを学んで驚くのは、日本が手本となっているビジネスモデルがあるということだ。
 日本の弱いのは、日本に日本語のマネージメント学が無いことである。
 日本にも伝統的な商売のやり方はある。それは優れた経営学だ。
 日本人による、日本語の経営学を自信を持って整理して欲しいと感じる。
 日本は士農工商で、商売が語られないのは、
商は最低だという文化がいまでも根強いのではないかとも。

2004年05月15日(土)
エンジニアリング・ブランド(8):4P+Cとは
 4P+Cとは、Product(商品・サービス)、Price(価格)、Place(市場)、
Promotion(販売促進)とCost(原価)をさしている。
 4P+Cをマーケティング要素という。
 当たり前のようだが各要素を簡単に説明してみる。
(1)Product
 "商品・サービス"とは、販売対象である売り物である。
 良いものは売れる。良いものとは何かである。
 営業するとき、これをきちんと語れるようにするには、努力がいる。
(2)Price
 "価格"を語れず販売はできない。即座に金額イメージを語る必要がある。
 そのとき、前提条件があれば、後々誤解を生まないほうが良い。
 最初に高めを言うか、安めを言うかは難しい。
 価格を語れなければ売り込みを行ったことにはならない。
(3)Place(市場)
 市場とは、抽象的な概念の世界である。
 市場が形成される前に市場を見抜くのは、困難な作業だ。
 新規市場は創生する必要がある。
 そこで仮説の市場を組み立てて、売り込みを開始する必要がある。
(4)Promotion(販売促進)
 "販売促進"というより"プロモーション"といったほうがよいのかも知れない。
 プロモーションという言葉、日本語には無い概念だ。
 ここでは、広告、販売、営業、ブランド構築活動を含めている。
(5)Cost(原価)
 "原価"を把握せずに販売はできない。
 商品の原価構造を理解して、初めて売れることになる。
 また、利潤なき販売は、企業活動としては悪である。
 企業活動の原則は、利潤を生み、それを次の再生産にまわすことができなければ、
 企業の発展は望めない。原価を把握して、適性利潤の確保が、販売活動の原則となる。

2004年05月14日(金)
エンジニアリング・ブランド(7):4P+Cを知らずに開発をしていた
 今から20年も前のことだが、開発部門の課長のときのことを思い出す。
 「"4P+C"を意識して開発をしているか」とお客様から質問された。
 その当時は、お客からでる仕様どおりに作れば良いと思い込んで開発を進めていたのだ。
 恥ずかしいが答えられない。マーケティングのマも知らないのだから"4P+C"を聞いても分からない。
 いまでもその当時の悔しさを覚えている。
 お客さまから、マーケティング要素を教えられたのだ。
 それ以降は、製品開発をするときや、販売戦略を検討するときは、
いつでも"4P+C"を考え続けて開発を進めてきた。
 そのお客さまのアドバイスがどれほど貴重なものであったか計り知れない。

2004年05月13日(木)
エンジニアリング・ブランド(6):MOTを学ぶ場で議論して欲しい
 技術経営(MOT)の分野におけるマーケティング論を展開する状況では、
"エンジニアリング"にこだわったブランド戦略を論じる必要がある。
 MOTで論じるブランドは、商品や企業に対するものではなく、
"エンジニアリング"に対するものも含める必要がある。
 産業用設備機器に関する技術を理解して、
技術が分かる人間が特定市場で特定顧客向けに販売する際に有用なブランドこそ
"エンジニアリング・ブランド"であると仮説を立てられる。

2004年05月12日(水)
エンジニアリング・ブランド(5):分かりやすいマーケティング書
 "マーケティング"を学んだことを、実務的な事柄と対照してみたとき、
現実の実務で起こっていることから乖離しているように感じられることが、多々ある。
 原因の一つは、マーケティングでは、用語が外国語(カタカナ)での定義が多く、
外来語の意味を十分に咀嚼(そしゃく)せずに使うためではないか。
 本コーナでは、カタカナ言葉をできるだけ避け、日常的に使っている言葉に置き換えて
表現するよう心がけて行く。やむを得ず使用する場合でも、専門用語を解説して使い、
分かりやすくなるよう心掛ける。
 日本では、伝統的に商売をさげすむ傾向にあり、あまり儲けの話を堂々とやると
下品なような文化をもっているように感じている。
 その影響か、ビジネスを表現する言葉が日本語には極端に少ない。

2004年05月11日(火)
エンジニアリング・ブランド(4):マーケティングを独学で勉強
 日本の多くのメーカの技術者は、経営管理者になる過程で、
仕事を通して“マーケティング“を独学で勉強することになる。
 在職中に学校に出かけて学ぶチャンスは、少ない。
 たとえば、定期異動で技術者が商品企画部に配属となって、商品企画部長になったときが、
本格的に“マーケティング“を学ぶ最初となる。
 仕事として、マーケティングのプロの中に入って商品戦略、販売促進戦略などの各種戦略を企画、
立案する部門の責任者となり、取り組むことになる。
 実践的な対応を、独学で学んだ“マーケティング論“とのすり合わせを現場で瞬時に行い、
企画、立案部門の責任者として、仕事を進める。
 実務で “マーケティング“を取り組まれている管理者(マネージャー)は、
” エンジニアリング・ブランド”構築をまさに日々実践している。

2004年05月10日(月)
エンジニアリング・ブランド(3):B2Bマーケットを対象
 エンジニアリング・ブランドは、B2Bマーケットを対象とする。
 “ブランド”は、通常、多くの場合、一般消費財の市場で議論されてきた。
  “エンジニアリング・ブランド”は、資本財や生産財をやりとりする市場、
つまりB−B(B2B)マーケットを対象とする。この市場での買い手は、通常、専門家だ。
 この市場における新規市場形成過程こそ、エンジニアリング・ブランドが対象とする領域だ。

2004年05月9日(日)
エンジニアリング・ブランド(2):エンジニアリング・ブランド構築とは
 ベンチヤービジネスや新規事業では、認知度のない新商品や新サービスを販売する必要がある。
 買い手に購入を決定していただくには、技術的視点での評価過程を踏んでいただいて、
買い手から信頼と安心を確認していただくことが、売り手にとっての必要条件となる。
 買い手が新商品や新サービスの購入を決定した段階では、
買い手の中に“エンジニアリング・ブランド”が形成されている。
 つまり、新商品や新サービスを買い手が購入するには、買い手が新商品や新サービスを理解して、
売り手は買い手から安心と信頼を得ることが必要だ。
 “エンジニアリング・ブランド”の形成過程で重要なことは、
そこに人と人との出会いがあってはじめて形成されている現実を知ることだ。

2004年05月8日(土)
エンジニアリング・ブランド(1):技術を対象にしたブランドの紹介
 ”エンジニアリング・ブランド”という言葉は、私が使うのが最初だ。
 ”エンジニアリング・ブランド”は、ブランド構築の対象を”エンジニアリング”つまり技術に的を絞って問題提起していく。
 既にあるブランド概念の枠を広げて、”エンジニアリング・ブランド”の再定義を試みる。
 このコーナで、私が考える”エンジニアリング・ブランド”を取り上げ“エンジニアリングに焦点を当てたブランド構築の目的、
手順などを整理し報告する。

2004年05月07日(金)
 「組織と戦略」(渡部教授)の講義をうけている。
 自分の仕事で、組織や戦略に関わることを発表しようということで、
どのような報告にするかとりくんでいる。
 わたくしは、「人・物・金・情報・時間」という5つの要素を
図形的に考えて提案しようかと思考中である。
 例えば、組織を三角形と長方形に置き換えて考えてみた。
 ― 三角形 ―
日本では、お城の中に組織をピラミット型の三角形の形の組織を作る。
 特徴は、「安定、安心、人材育成、チームで仕事がしやすい」がある。
 ピラミット型組織の最大の問題は、「変化に弱い」がある。
 仕事を作っていく傾向となる。
 ― 長方形 ―
 プロジェクト主体で構成される仕事中心のフラットな組織だ。
 仕事が終われば解散(リストラ)となる。
 当然のビジネス形態であるともいえる。
 変化に強い組織と言える。
 組織が人を保護することはない。
 人と人とのつながりが仕事の人的なネットワークを構築する。

2004年05月04日(火)
MOT的思考:新しい仕事
 簡単に思えた仕事でも、やり始めると思わぬところでつまずくものだ。
 だから、早め早めに仕事を着手して、進めておきたい。
 解決に、時間を必要なことがあるからだ。
 やりたい事がたくさんあるとき、パラレル(並行)に仕事ができると効率よい。
 でもなかなか難しい。
 複数走っている仕事個々に対する集中力とそれぞれの仕事の課題を思い出すことが必要だ。
 仕事を進めて、壁を感じたとき、それがほんとうの仕事のスタート点になる。
 その壁の整理と壁であることを分析して、解決へと進んで行く。
 壁となっている課題は、日常生活の中で、別な仕事をしているときに、ふと解決策を思い出す。
 壁を感じたとき、壁のままで終わっては、能力の向上は期待できない。