百 経  ( けいけん )

番 号 003 基本テーマ  私の経験 3
- - タイトル  シリコンバレー:日本人より俺たちの方が働いている。

概 要   1999年の夏のこと、まだゴールドラッシュ的ムードがあったシリコンバレーの実話。
本 文  
 シリコンバレーのアップル本社に近い日本系の飲み屋のカウンターにいると4人組みの若い米人が入ってきた。隣の椅子が空いていたので、割り込んできて「何時間働いている?」といきなり質問。「10時間」と答えると。「俺たちのほうが働いている」、「今日本は駄目だろう。日本人は働かない」という。
 何を言いたいのかよく分からないので、話をあわせていると、「もともと東に家はあるが、西に働きにきている。東は住みやすいが、西は落ち着きが無く住みにくい。今開発している仕事を製品化し、金儲けするのだ。2、3年シリコンバレーで働いて東に戻るのだ」、「一日、14時間働いている。家には寝に帰るだけだ。」と自慢する。
 彼らは製品開発に取り組んでいて、夜遅くまで4人で仕事に取り組んで困難な問題を解決できたのだろう。その達成感を誰かにぶつけたかった。いつか行ってみようと思っていた日本系の飲み屋に入ったら、日本人がいた。日本に対する気持ちを話さずにはいられなかったのだろう。

 4人組みは、カラオケを歌い始めた。
 私は、逃げるように、一人会計をして、その店を後にした。