百 敬    ( そんけい )           稲盛 和夫  (1932-   ) 

 
人材の育成  −豊かになり、リーダが育たなくなった−
 「第二次大戦後、日本、欧州は戦災からの復興を目指し、米国は戦時経済から転換のため、みんな必死に働いた。食えないなどの困難に遭遇して、一心不乱に働いたことが、雑念、妄念を払しょくし、結果的に人間性を高めた」
 「仕事に打ち込み、道を極めることが、リーダにふさわしい不動の人格を培う。ところが国が豊かになり、バカみたいに働かなくてもよくなって、リーダが駄目になった」 (2002.5.18 日本経済新聞)
30代、40代のリーダが改革を先導する  −年功序列の時代は終わった−
 「人間は生来、純粋さや勇気、正義感を備えているが、50歳を超えるとこうした美徳を「書生っぽい」などといって軽視し、妥協に甘んじる自分を正当化しがちだ。」 (2003.1.10 日本経済新聞)
人格者が高い地位につく    −企業統治の危機を未然に防ぐ−
 「『徳の高い者には高い位を、功績の多い者には報奨を』という西郷隆盛の言葉にもあるように、高い地位に就くのは人格者であり、素晴らしい業績を上げた者の労苦には金銭で報いるべきだ。」
 「リーダとは、報酬のためではなく、その使命感をもって、集団のために自己犠牲を払うこともいとわない高潔な人格を持っていなければならない。」
 「企業統治の危機回避には高度な管理システムの構築が急務だといわれる。だが、『だましては行けない』、『うそは言わない』、『正直であれ』というような単純でプリミティブな教えを、まずは企業リーダである経営者や幹部が徹底して守り、社員に守らせることの方がずっと有効だ。」(2002.11.27 日本経済新聞)
不可能と思われたことにチャレンジする    −生産技術だって革新の余地はある−
 「普通の創意工夫ではだめ。ひと味もふた味も違うものを生み出す。革新的な開発技術による新製品はもちろんだが、世界に追いつかれたといわれる生産技術だって革新の余地はある。」
 例えば、「歩留まり」の発想からの脱却を上げている。「千個つければ千個完全な良品にする。これが新しい挑戦。歩留まり100%となれば検査工程は不要。」、「常識を疑う。不可能と思われたことにチャレンジする。日本の製造業にはまだまだプライドがある」 (2002.4.23 日本経済新聞)